ドラマーのための音楽用語辞典

周辺環境事情編

レコーディング

ドラマーにとっての「取調室」を意味する。

ミキサー、プロデューサー、バンド首謀者などが入れ替わり立ち代り現れてはドラマーに対して「これまでの音楽に対する心構えは」「今までこんなことも適当にやっていたのか」などなど峻烈を極めた言動を浴びせ、ドラマーの心身はダメージでずたずたになる。

あまりにも録音が進まない場合、たまに「気分を変えて一回外に行って空気を吸ってこようか?」などと言う提案がなされる場合もある。これは警察機関の取調べに用いられる「おふくろさん話」または「カツどん」に匹敵する陽動作戦なのだ。

遠からず自白の時間がやってくる。これは以下のようなドラマーの言動がそれにあたる。

1、「これ以上いいテイク残せないよ・・・」

2、「何回やっても出来ないって」

3、「もういいよ、これで行かせてよ」

4、「このフィル、省略する。。。」

いずれも「出来ると思っていたが出来ず、それを認めた」瞬間でありまさに自白に他ならない。警察同様、自白が始まると事態は一気に進捗し、次々と手続きが変わる。一度でも予定していた演奏をあきらめ自分のレベルを認めたドラマーには、次の曲も何もかもそのレベルで進むことになるので当然である。

べースギターへと進むレコーディングの場は、ドラマーに取って留置場を意味する。これは「やることがないのにその場を動けず、役割などなくても一定時間拘束される」ことで意味合いの合致を見る。

ミックスダウン終了で仮釈放である。音源が製品化される前の短い時間は言うまでもなく貴重であり、開放感のあまり一人で小旅行に出かけたりするドラマーも多い。

その音源が販売され、評価が定まってくる。この段階が「判決」と考えられる。以下のようにシミュレートできる。


判決朗読:

被告人はこれまで「自分はドラミング上達を願い毎日のように修練に励んでいた」と周囲に信じ込ませ、その間は野放図で自堕落な生活を送っていたことは参考人の証言を聞くまでもなく明白である。

このことによって参加していたバンドの音楽レベルを著しく低下せしめた。そのため本来達成するはずであった完成度は被告の責によって目をおおわしむるような悲惨な結果を招くに至った。

そのような重大な罪を犯した自覚もなく、検挙後も「だってあんなの叩けるわけないのぼく」「クリックに合わせたことなんてないもん」などと
言い訳に終始し、改悛の情は皆無であると判断せざるを得ない。

厳罰を望む被害者の感情と照らし合わせ、かかる重大案件を放置することなく、被告のような犯罪者の蔓延を防ぐのが法治国家の責務である。したがって当法廷は厳罰を持って望むべきと判断する。

主文:

被告人を懲役3年、執行猶予4年、シングルストローク一日3時間、社会奉仕としてスタジオ清掃半年間に処する。

これを機に、心を入れ替え、真摯に練習して真人間を目指すよう、当法廷は願ってやまない。


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