ドラマーの主張
Vol_9「愛する僕のスネアちゃんへ」
君との逢瀬も、もう20年近くになるね。
はやいものだよね。今では君のいない毎日は考えられないんだ。
思い出すんだ。君と出会った頃のことを。
もうなくなってしまった楽器屋さんの店頭にひっそりと君はたたずんでいた。
ハンドハンマー仕上げのそのボディを一目見たら僕はもうイチコロさ。
ラディック家からの出だもん、本当は高嶺の花だったんだ・・・
とても貧乏だった僕だけど、無理に無理を重ねて手に入れたんだよ。
その日から君との毎日が始まったんだよね。
愛し合うようになってから、当初の君はちょっとよそよそしかったよ?
まずスナッピーがヒモだったんだよ。あれはいけないよ?
そんなことも知らなかった君はやっぱりちょっと幼かったのかな?
なのでまず僕は固定側をベルトにしてあげたんだ。
そして反対のベルト側には、同じピッチだったヤマハ3000シリーズスネアの
ベルトフックを取り付けたんだよね。
これで君はちょっとおしゃれで丈夫になった。
次にね、ちょっと君は最初、自己主張が強かったよね。若かったしね。
いつでもどんな音楽でも、君の声は耳につきすぎていたんだよね。
これはまずいかなって僕は思って、コーテッドのエンペラーを張った上に
5cmくらいの「ヘッドの切れ端」ミュートを乗せたんだよね。
さらに純正のスナッピーをはずして、TAMAの41本スナッピーに交換。
これで君はいつでも僕の思うままになってくれたんだ。2年かかったよね。
本当に感謝しているんだよ。もう君がいないとドラマーとしての僕は
成り立たないんだよ。
ただね、謝りたいことがひとつあるんだよ。
え?あははは何を言い出すんだい僕のまいはにぃ。
違うよ、他のスネアなんか買うわけないじゃないか。
せっかくの愛する君のことをね、僕は丈夫な木の棒で何千何万回と
叩かなきゃいけないんだよ。それが二人の宿命なんだ。
いつも痛いんだと思うよ。ああ、わかってるさ、それが君の役割だよね。
でもさ、せっかく手に入れた君をそんな、
叩きのめすことが存在理由だなんて悲しすぎるじゃないか
・・・ああ、そういえば純正のリムが手前のリムショット側で
ねじ切れたことさえあったよね・・・・ごめんよ、ほんとうにごめんね・・・
これからはもう少しいたわってあげるよ。油も差してあげよう。
君の大好物、クレ556をあげるから。だから、これから仲良くしていこうね。
・・・愛する402k・6,5スチールスネアちょんへ。す・ぎ・こっ
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