ドラム講師の嘆き

No.6「寄り道」

「・・・であるからして、腕で振ろうと思うな。手首と指の動きをプラスして最終的にスティックはしなやかに振れるんだ」

「親指は爪が真上ですよね?」

「基本はな。でもまぁ慣れてくると自分にあった傾きになってくるよ。」

「先生はちょっと親指は内側なんですよね?」

「状況によるんだ。両方使う場合が多いよ。例えばフルショッ  

 

ピロピリパァァァンン・・・ (16bit FM音源)  

 

「・・・・先生、携帯がなってますよ?」

「あ?いや、わかってるよ?」

「出なきゃ・・・・」

「今はそれどころじゃない。レッスン中なんだ。」

「相手の方に悪くないですか?」

「いや、おまえに悪いべや。そもそも電源切っておくのを忘れてた。」

「えっ?電源を切るんですか?」

「いつもはな。つい忘れてたでや。すまん」

「信じられないなぁ・・・・」

「何が?」

「だってメールも通話も出来ないじゃないですか」

「その場はな。でもメールならほっときゃサーバーから落ちてくるし通話だってその時通じなきゃ又かけ直すべや、相手も」

「僕は生理的に電源は切れないんですよ。いても立ってもいられなく・・・」

「出たな電波依存症。あのな、自信のなさの現われかも知れんぞ?」

「は?」

「何かで繋がっていなきゃ何かから外れてしまう不安っていうの?」

「言われてみれば・・・ええ・・・・」

 

「相手や自分を見るときに『心』が抜け落ちてるんだよ。『携帯』や『メール』やそんなものの状態で相手との距離感を測ろうとしてるんだっ。心の状態を見ようとも、見せようともしていないんだっ。そんなんで本当に豊かな人間関係が構築できるとでも思っているのか? 本来はわがままで自分本意な『自分』や『相手』と対峙して行けるのか?大体よぉ、テメェでテメェを 貧しいとオモワネェのかぁ?」

 

「先生?」

 

「あのなぁ携帯かけるのもメール出すのもどっちも『自己都合』だべや。相手の状況にお構いなしでテメェが出したいから出すんだべや違うかおら、そんなもなぁ相手に対して『心』を向けてなんかいやしねぇんだっ、『自己都合』や『自己意思』の純然たる押し付けだべやっ 」

 

「先生、先s」

 

「それで相手が出ないとか返信がないとかってヘソ曲げてやがんだ。なぁぁぁぁんだってよ?想像力もなきゃ思慮もねぇ、ガキそのものの 行動様式じゃねえかよっ?

あああああ?」

 

「・・・・先生?」

 

「・・えと・・又来週ね・・・・」

 

※私は講師として「常に冷静であれ」と戒めています。


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