杉山雄一による読み物

「池袋哀歌」

付記:平成18年、夏に記述。

このね、どーしても好きになれない街が池袋なんです。なんつーんだ?あの日暮里やら駒込やら鶯谷やらってな「たそがれ」市街地の入り口といった風情があたしだめなのよカヨコぉ、

もーひとつありましてね、実は東京に出てきてすぐの頃にとあるプロのバンドマンの方々にお会いしたんですよね。それが池袋です。街の名前にさえなってるようなバカでかいホテルがあってそこの最上階ラウンジで彼らは2ステージでして。伺ったわけですね。

ビール1杯で900円で、チャームが3000円税別てお前。気でも狂ったのか?な価格設定でした。ありえない。

そのリーダーの方はよく名前を聞く鍵盤弾きさまですよ。
TV-CMや映画音楽なんかでも以前はよく拝聴しました。
それがなぜまた最高級とは言えホテルのラウンジなんだろ。

ご自分でおっしゃられてましたがね、「生活のため」とはっきりと。
お子さんもおられて、自分の音楽ばかりを追及してても
食えなきゃどうしょもないからと。でもね、TOP40のリクエストに
完璧な演奏で瞬時に応えつつ、10曲に1箇所、ほんの2小節くらいは
魂が飛翔する瞬間があるそうです。それが自分のミュージシャンとしての
よりどころであり、誇りでもあるそうです。

そんな彼がおっしゃったんですよ。

「君の音も演奏も確認したけど、どう聞いてもオリジナル思考だ。
もちろん僕たちのところで仕事として叩いて歌うのは問題なく
行けるとは思うんだけど、、、あのね、まだまだ音楽を楽しめる
可能性がある今の君のこの段階で、、、こっちに来ちゃダメだよ・・・」

丁重にお礼を申しあげ、その場を辞した私であります。
さっきの言葉が頭を駆け巡るんですよね。
感動とも、哀しみとも、なんともつかない感覚です。
一人のミュージシャンの、栄枯盛衰、必死な状況、人生、
わずかな時間で一気に私の前を駆け抜けたんですよね。
間違いないのは「これでまたひとつ進む可能性が減った」こと。

色んなことを考えながらトボトボ歩いたのが池袋の街です。
今でも池袋の駅を降りますと、その時の哀しい感じが一瞬通り過ぎます。

それが一昨年のバレンタインデーだったんです。
皆さん、幸せな1日でしたか?皆が幸せでありますように。


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